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第1回クオリアAGORA_2013/ディスカッション



 


 

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ディスカッション

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ディスカッサント

堀場製作所最高顧問

堀場 雅夫 氏


同志社大学大学院経済学研究科教授

篠原 総一 氏


オムロンヘルスケア学術技術部技術探索グループ主事

堤 正和 氏


滋賀医科大学特任教授

角谷 寛 氏


佛教大学社会学部教授

高田 公理 氏




篠原 総一(同志社大学大学院経済学研究科教授)


「人はなぜ、眠るのか?」をテーマにおふたりからスピーチをしていただきました。 角谷先生からは、医学の調査研究から得られた知識を中心にお話いただき、例えば年齢と睡眠の関係、国別、時系列のお話で、特に日本では最近になって、睡眠が短くなっているというようなことが出ていました。 それから、眠りの周期や不眠がもたらす問題で、特に無呼吸症候群についてもお話いただきました。 また、その中で、現在、進めていらっしゃる研究について、他分野、社会との共同研究を行うことが必要なんだとおっしゃっていました。 


これは、われわれクオリアAGORAの狙いと全く同じなわけで、きょうも、ここにおいでのみなさん方が、いろいろなディスカッションの中で、自分たちの専門分野ではないところから新しいヒントを得たり、新しいビジネスチャンスの芽を汲み取っていただけたらと思います。 高田さんのスピーチは、いつも通り自由奔放で、コメントが難しいのですが、キーポイントは眠り方を規制する、ないしは支える制度的な、あるいは環境などの条件があり、「善く眠るため」に、人間がいろいろな工夫をしてきたことをお話いただき大変面白いと思いました。 


それで、われわれが考えなければならないと思ったのは、社会の制度的な条件、例えば、工場生産が中心だった時と、そうではない経済活動を行うような社会になった時とでは、睡眠の目的、意義が違うとご指摘になったことはとても重要だと思います。 両方の先生のお話にも出てきましたが、どうも眠りにとって電気が曲者で、私は、電気があるからこそ夜行型の人間になってしまっています。 どうしても夜寝られなくて、何もかも夜にしかできない。 電気がなかったら、普通の暮らしをしているでしょうが…。 


それで、非常に面白かったのは、睡眠をしなかった時のコストというお話があったことです。 不眠症や無呼吸症候群のコストを3.5兆円と算定されたそうですが、これ、全然、私は信じません。 というか、そんな不正確な話はないだろうと思うんです。 3.5兆円がどんなものかというと、日本のGDPは500兆円なんですね、その0.7%です。 今、日本は0.7%成長するのに大変努力をしているわけですが、みんなが寝ればすぐ解決するんだったら、睡眠薬を処方すれば済むということになりますが、そう簡単にはいきません。 それと、もっと面白かったのは、エジソンとアインシュタインを例に短眠型、長眠型というお話がありましたが、眠り方で発見するものが違うのかもしれませんね。 とても興味深かったです。 


いろいろなお話があって、ずいぶんみなさんの刺激になったんじゃないでしょうか。 会場にも近い研究をされている方も多いので、どんどん討論に参加していただきたいと思います。 では、最初に、オムロンの堤さんの方から、「睡眠計」のお話から始めていただきましょう。 



堤 正和(オムロンヘルスケア学術技術部技術探索グループ主事)


では、「オムロンヘルスケア」が昨年度発売した「睡眠計」を中心に、睡眠と健康ということについてお話いたします。 


大小2機種ありまして、この小さいほうが「ねむり時間計」で大きいほうが「睡眠計」です。 それぞれ昨年の4月と5月に発売いたしました。 睡眠は健康に関して非常に重要なわけですが、専門的な機器はあっても、一般の人は、よく寝られたとか、睡眠不足だとか自覚としてあっても、自分の睡眠を客観的に示す指標がなかった。 それで、弊社は、血圧計や体重計など健康機器を発売し、健康をいかに継続していただけるかというのが使命なんですけども、実は、以前から健康に密接に関係している睡眠というのも研究をしており、個人が自分の睡眠状態を計測できる機器の開発に5年前くらいからアプローチし、まず、センサーの技術検証を行い、3年前から商品開発を始めておりました。 


この「睡眠計」の特色は、非接触で、ベッドサイドに置いておくだけで電波センサーにより睡眠を計測できる、ちょっと世の中にない商品です。 基本的には、体の動きから「寝ている」「起きている」がわかります。 一方、「ねむり時間計」の方は、体の動きに伴うベッドなど寝具の揺れから眠りをはかります。 測定手法は、電波と振動とそれぞれ違いますが、いずれも、眠りを測定する機能は同じです。 スマートフォンのアプリなどを枕元において眠りを計ることのできるものもほかにありますが、特に「ねむり時間計」は、光とかも出ず眠りも妨げないし、デザインも可愛いいので、先ほど高田先生のお話にあった「眠り小物」としてもいいのではないかと思います。 


「睡眠計」は、普段の眠りをデータとして数値化し、そのデータをサーバーに飛ばして統計処理・可視化できるので、自分の眠りのデータを、健康増進に役立てていただけると思いますし、弊社も、こうしたデータを基に日本人の眠りを日々研究しているところです。 


篠原


その大きい方は、ちなみにどんな方が購入されるんですか。 



電気店、インターネットでも買えるのですが、こういう新しいものに興味を持っていただける40代、50代の男性が多いです。 



堀場 雅夫(堀場製作所最高顧問)


ちょっとお聞きしますけど、はかって何するんですか。 



自分の睡眠がどうなのかを知ることが、まずスタートポイントかと思います。 それで、思った以上に寝られていず、昼間眠いというのは問題なんですね。 そういう方々に、改善行動をとってもらって、計測してもらい、それがよい眠りにつながったかを確認することができるんです。 


堀場


相当、神経質な人なんですね。 



高田 公理(佛教大学社会学部教授)


堀場さんの話を聞いていて、いつも思うのは、「まあ、すごい人やなあ」ということです。 自分の体とその状態への思いに圧倒的な自信をお持ちだからです。 


で、「そんなもん、よう寝たか寝られへんかったぐらい、目が覚めたときに、わかるやないか」――そうおっしゃりたかったんと違いますか。 


堀場


その通り。 


高田


でしょ? 1980年代の末から、しばしば横に座らせていただいたんで、だいぶん分かるようになってきました。 そこで翻ってみると、そうした自分の体とそれに対する感じ方に、現代人は自信がないんですね。 実際、食べ物に関しても、「俺は、これが食いたい。 これ、めちゃめちゃうまいと思う」ということが言いにくい。 この点でも堀場さんは、圧倒的な自信を持っておられる。 隣に座って、何度かおいしいものを食べさせてもらったので、そう言い切ることができるわけです。 


それに比べて、今の若い人は、何が美味しいと思うかを、なかなか自分では決められない。 で、メディアを通してグルメ評論家の指摘を手に入れて初めて、「おいしい」とされている飲食店に足を向ける。 これも、現代人の自信の無さに由来している。 睡眠と一緒です


ところで、「睡眠を測って、何になるんや」という話ですが、これは「フィードバック」という考え方を参考にすると、その意味が捉えられるのではないですか。 というのも、少し昔、「測るだけダイエット」というのがありました。 毎日、体重を測って記録しておくだけで、徐々に体重が減るというわけです。 これと同様、睡眠計に教えられて「ああ、昨夜は、よう寝られたわ」と思うと、徐々に、よう寝られるようになっていくんじゃないですか。 そういうことを、立教大学の教授の友人が、体験から話してくれました。 という意味で、睡眠計は、眠りにかかわる一種の「お守りさん」みたいなもんなんと違いますか。 


堀場


あんまりいうて、それ売れんようになったらオムロン困りますし、私も株を持っています…。 高田先生の今のお話、私もしようと思っていたのですが、体重、ぼくも、理想体重より20キロ多いんですよ。 お医者さんは、体重減らせという。 そして、大体ぼくの好きなものを食べるなというんですね。 ぼくは、食べたいものを食べなかったら、そのストレスで死ぬと思っているんですが、そんなことですから、そのお医者さんが、密かに、私の秘書に、さっきの体重計に乗るだけダイエットを指示したんですね。 そのカーブを見てたら、きっと1年間に7~8キロは下がるはずやと秘書は聞いてたらしいです。 が、毎朝、体重計に乗って3、4カ月、一向に高値安定で…。 まあ、本人がその気にならなければだめですねえ。 


それはそうと、ちょっとショック受けたことがあるんですが、寝たけど目冴えている時、普通、ナイトキャップがいいと思っていたのですが、酒飲んだらあかんといわれました。 これ、どうなんでしょう。 



角谷 寛(滋賀医科大学特任教授)


お酒は、寝付くにはいいんですけれども、体の中で酸化され、二日酔いの元であるアルデヒドに変わってしまうんです。 


このアルデヒドは、睡眠の質を悪くします。 尋ねられたときは、結局、寝付きは良くなっても後でしんどくなるので、晩酌は良くても寝酒はやめてください、といいます。 と、まあ、人にはいうのですが、私も酒処広島の出身で、自分がどうしているかは別の話なんです。 まあ、度を過ごさないことが大切です。 


篠原


何時に起きていかなきゃいけないので、何時に寝ないとと思うのは良くないんですね。 ぼくなんかそんなこと気にせず、2時間しか寝られないならそれでいいやと思うんです。 短時間ちょっと寝ると、それで済む。 


角谷


大体、お昼寝とかで日本で推奨しているのは15分とかいっています。 その理由は、短時間でも仮眠を取ると結構スッキリするし、あまり長く仮眠を取ると、深い眠りまで入ってしまい、それで起きると頭がボーっとしてしまうからです。 それから、明日、何時に起きないかん、というのは、結構、起きるのに役立ってまして、起きる時には、ステロイドホルモンといって、ストレスがかかった時に出るホルモンがぐっと上がってきて目が覚めるんですね。 明日、何時に起きないといけないと思っていると、その時間ぐらいにステロイドが上がってきて起きられると、実験的にいわれています。 何時に起きようと思い、その通り起きられる人は、そこそこに睡眠が取れている人だと思います。 


高田


昔の人は、眠る代わりにおやつを食べたんですね。 「お八つ」というのは午後3時ですから、その時間に、ちょっと甘いものを食べることで、パワーアップというか、短い眠りの代わりになるんですね。 だいたい目覚めて6時間か8時間で必ず眠くなるんで、おやつというのも、農民というか肉体労働者が考えた知恵やというふうにいわれています。 


篠原


授業中に学生が、面白くない話の時は眠りますね。 あれはどういうことですかね。 


高田


そういう眠りを「居眠り」と書きますね。 どういうことかというと、そこに「居ながら眠る」ということなんでしょう。 会社の会議なんかでも、居眠りは余り問題にされることがありません。 そんな現象を捉えて、ケンブリッジで「日本人の居眠り」を研究しているブリギッテ・シテーガさんという女性が、「日本社会では、そこに居ることに大きな意味があるので、そこに居さえすれば、眠っていても許されるじゃないか」といったような意味のことを論文を書いています。 まあ、面白い見解やと思います。 


堀場


何人かのアングロサクソンの人にいわれたが、日本人って、汽車に乗ったらほとんど寝てる。 確かに、トイレから帰ってくる時に見たら半分以上寝ている。 それに比べ外国人は、寝ている人をほとんど見ない。 これ、どういうことでしょう。 


高田


いくつかの理由があるのでしょうが、治安がいい、というのが決定的な要因ではないですか。 まあ最近は日本でも、置き引き被害が増えているので、今後のことは分かりませんが……。 






堀場


この質問の答え聞いても、もう必要ないんですけど、朝起きにくい人は、前の晩しっかりセックスしたら、快適な朝起きができるということで、ぼくもいろいろ試してみたことがあるんです。 でも、効果はなかったんですが、これどうですか。 


角谷


それはわからない…。 あまりに疲労感があると起きられないんじゃないですか。 ストレスの解消になればいいかもしれませんけれども、頑張りすぎて翌日体力的に疲れが残るようであれば、起きられないというのが本来じゃないでしょうか。 


堀場


あんまりいい方法ではないんですね。 


角谷


あまりいわれていないですね。 ただ、日本人は、諸外国に比べ、セックスを夜の楽しみにすることは非常に少ないといわれています。 だから、海外と比べるとベースが違うと思います。 外国で、夜、セックスがないことがストレスになってる場合は、そういうことがありうるかもしれません。 


高田


もっとも、人類全体に視野を広げると、性行動が夜に寝室で行われるとは限りませんね。 狩猟採集民の多くは屋外で済ますようです。 アフリカの遊牧民であるダトーガ族なんかも、住む家が男女別々なので、屋内ではセックスをしません。 


篠原


セックスのことを聞きたかったわけではないんですけど…。 睡眠するためにどうしたらいいかということと、あと、睡眠をしなかったらどうなるということはわかったんですが、睡眠には、こんないいことがあるというのはありませんか。 


高田


眠るというのは、とても気持ちがいいじゃないですか。 


篠原


そうです。 ぼくも、それがいいたかったんです。 寝る時にね、はあ、寝られると、それも気持ちいいですね。 気持ちがいいというのも、とても重要なことですね。 


高田


そう思いますね。 何かをしようというとき、気持ちがいい、楽しいというのは非常に大事です。 睡眠も、「寝なきゃダメ」と考えると、気分がしんどくなってくる。 それに比べて、眠るのは気持ちがいいし、楽しい。 そう考えると、楽しくなってくるのだと思いますね。 


篠原


最近、何かのエッセーで読んだと思うんですけど、ある科学者が、日本人が眠らなくなったのは、経済学のせいだっていうんですよ。 それは、経済学に対する偏見なんですけど、経済学では、多分、1日24時間しかないから、時間のコストを考えるんですね。 もし眠らなかったとしたなら、何ができたかと考える、それは稼げたであろう時間で、もっと楽しいことができたかもしれない。 だから睡眠はもったいない。 効率よく幸せに生きるためには睡眠は減らしたほうがいいと考えていると思ったのでしょう。 逆に、眠らなかったら楽しくないのですから、どういうふうに考えたらいいんでしょう。 


角谷


コストの計算の時に、幸福あるいは心身の健康であることを●●のコストとして計上すればいろんな面で、解決がつくと思うんですが。 


高田


そういえば、学生と睡眠の話をしていると、彼らは、「世の中には、いっぱい面白いことがあるのだから、寝てたらもったいないやないですか」というようなことを言います。 そういうとき、「そうかなあ、ぐっすり眠るのって、めっちゃ気持ちがええやないか。 その気持ち良さを知らんことこそ、もったいない」などと言ってみるのですが、はて、どうなんでしょうか。 これって、明らかに価値観の問題なんですね。 しかも今日、自分自身が体験していることが、本当に気持ちが良くて、体や心にも好ましいということが、なかなか自分自身で実感したり、納得したり、できなくなっている。 そういう時代なんでしょう。 


こういう風に考えてみると、ある種の「バイオフィードバッグ」といえばいいのでしょうか。 たとえばオムロンの睡眠計が、「昨日は、ぐっすり眠れましたね」というような情報を与えてくれたら、「なるほど、そういえば今朝は気分がええわ」と思えたりする。 つまり、心身をめぐる客観的な第三者的なデータを与えられることで、自分の心身の状態に思いを馳せ、それを正確に捉え直す。 そういう練習をしなければ、自分の心身の状態を捉え直せないほど、現代人はくたびれてきていると考えるべきなのかもしれません。 





篠原


フロアからいろいろな話を聞いてみたいのですが。 



 

小山 恵美(京都工芸繊維大学准教授)


京大の睡眠文化論でひとコマ持たしていただいています。 あのう、私自身はサイエンスの実験もやりますが、睡眠文化なんかとのちょうど橋渡しみたいな仕事もできたらといろいろやってきております。 それと同時に、睡眠であるとか、それに関係する人間の体について、あまりにも間違った情報が世の中に氾濫していますので、それなんとかならんかと…。 


正しく睡眠についてわかってもらい、できるだけ生物として持っている、あるいは、昔から文化として引き継いできた眠り方が邪魔されないような環境を作りたいなと思っているんです。 眠らせることは絶対できないんです。 一方的に。 そういう脳の構造になっていますんで。 一方、眠りを邪魔することは、なんぼでもできるんですね。 それの今、最大の犯人がLED照明ということになっていて、その研究をしています。 「光環境と生物時計」という論文から抜粋したパンフレットを持ってきましたので、ご覧になってみてください。 


 

前田 晃嗣(花王パーソナルヘルスケア研究所所長)


最近、「めぐりズム」という商品を作っておりまして、アイマスクで目に蒸気の温熱を当てまして、その気持ちよさで副交感神経を緩くし、抹消から熱を放出することで深部温を下げるというデータをとっておりまして、少し眠りやすくなり、お客様に結構受けております。 そういう商品開発を大学の先生と一緒にやっています。 ところで、3.5兆円損失の事が何だろうと思いました(注)。 一晩中のコンビニなんかで逆に経済効果はあると思うんですが。 


高田


あれは、ぼくがいうてるんじゃなくて、睡眠学会がいっているんです。 それから、小山先生がおっしゃったことはとても大事なことですね。 説明を十分されなかったのでわかりにくかったと思うんですけど、ケータイとかアイホンとか、青色の光がものすごくたくさん出るんですよね。 これにあたると寝られんようになる。 コンビニの明かりの中に20分いると2時間ぐらい寝にくくなる。 それと、最近ホテルに泊まると、部屋は暗いがトイレがめちゃくちゃ明るくて、1分もいると目が冴えて寝られなくなる。 これは大きな問題です。 


 

谷本 親伯(大阪大学名誉教授)


私の専門外の事なんですが、今日のお話は、結局、自然科学的にも社会科学的にも眠りの本質はよくわかっていないというふうに理解したんですけど、それでよかったですか。 そうだとすれば、そんなことなのかと、ちょっとショックでした。 もう少しよくわかっていると思っていたんです。 


それから、4年ぐらい前、カリフォルニアにいた時、脳波を測って何を考えているのかわかるというゲーム機が販売されていて評判になり、日本でもNHKが特集組んだりしていました。 それで、睡眠度やそのメカニズムがこんなによくわかっていない状況で、オムロンのような会社が、睡眠計と称してそういうものをお出しになった場合、アメリカでだったら、詐欺ではないかといわれるんじゃないかという気がしたんですけどね。 どうしてかと申しますと、睡眠ということに直接関わる、本質的なそういう印象をとらまえていく場合であれば睡眠計といってもいいんでしょうけども…。 アメリカの場合は、ゲーム機としてしか許可されなかったのですが、それは、頭の中の構造をこのように科学的にとらまえているということを主張したのではなく、こいうことをやれば面白い、面白く思う情報を得られるということがベースになっていたからです。 オムロンさんの商品は、一つは振動をとらまえ、もう一つは体から発するで電磁波をとらまえている。 これがどうして睡眠計と称する製品になるのでしょう。 ちょっと皮肉っぽい質問ですが…。 



今のお話にあったように、元々睡眠の深度は、脳波を見てレベルを判定しているのですが、簡易に測定するのは難しいので、こういう時計型のアクチグラフというものがあって、腕につけて体動から簡易的な、睡眠、覚醒判定をするというものが研究、臨床現場では使われています。 その代替え品として開発したものです。 


小山


ネーミングに多少抵抗はありますが、睡眠習慣を測るのを手助けしてくれる計測装置であるという意味では、詐欺にはならないと思いますが。 


谷本


私が指摘したのは、ネーミングそのものがどうのこうのということではないです。 眠りの本質を、測った本人がどういうふうに理解すればいいかのガイドラインがないままに、そういう製品が出るということに対して疑問を感じたわけですね。 ですから、科学的にいろいろな方面からわかっていて、例えば、脳波というものが体から出している電磁波に関係があって、それをこういう形でとらまえると、その人がどの程度よく眠れているとか、あるいはストレスのたまり具合はどうなのかというところに結びつくような情報があって、それを利用するというのなら、私は大いに納得できるところなんです。 


角谷


多分それは、見方、立場の違いもあると思うんですけども、眠りの本質といったそういうことをほんとうに知ろうと思ったら、非常に多くの数のデータを集めて、それを基に次のステップとしてどうなのかと考えていくことが必要だと思います。 つまり、ビッグデータを得て、それを基に、睡眠の本質は何かを突き止めていくため役に立つ装置がひとつ出てきたという見方でいいんじゃないかというのが一つ。 それと、先ほど小山さんがおっしゃったように、一晩ではなく例えば、1カ月、2カ月、3カ月の睡眠のパターンを見ていって、それとその方の日常の気分、心身の状況を横につけといていただくと、例えば15分早く寝るだけで、こんないいことがあったなど、後で振り返ってみるのに役立つと思います。 あと、不眠という人について、長期にその装置で測っておくと実は、これだけ寝ているというようなことを示すのにも、この装置は使えると思います。 それに、脳波など病院とかでいくら正確に測っても、一晩だけ、普段と違う環境で測ったものだけでは不十分で、こういうものを使い、家で日常に測ったデータなど、間をつないでいくものが必要になると思っています。 


 

川井 秀一(京都大学大学院思修館プログラムコーディネーター)


欝と睡眠時間についてですが、この睡眠時間は実際のものか、本人がいってるだけのものなのか、どっちでしょう。 


角谷


このデータ自身は、アンケートによる申告なので、質とか本当の意味での睡眠時間ではありません。 鬱病の場合には、睡眠の障害は頻発し、よく寝てないといわれますが、欝の症状としては不眠、過眠、両方が出てまいります。 あまりにしんどくて動けない人は、寝床から出られず、長い時間寝ているというのが結構あるので、データに含まれているんだと思います。 


川井


欝と不眠の関係、欝になると眠れない、眠れないから欝になる、その関連性はどうでしょう。 


角谷


それについては、アメリカのジョンズ・ホプキンスという大学の人たちの追跡調査が、データとしてよく知られています。 医学部の人を何十年も追かけてって、学生時代に不眠があったかどうかで分けてみると、不眠があった人は、将来的に欝を起こす可能性が高いといわれています。 ですから、不眠が欝に先行するんやないかという意見があります。 ただ、もう一つ、症状の変化で睡眠時間が変わるのではないかということがありうるのではないかと思いますが、十分なデータが積み重ねられていないのが現実です。 躁鬱の躁の方では、結構な積み重ねがあって、躁の病状が悪くなるのに、ちょっと先行して、睡眠時間が短くなるのと違うかということがいわれていますが。 欝の方にはそれほどの蓄積がありません。 


 


篠原


そろそろ、時間が来たようです。 いつもは、ここで、後のワールドカフェのキーワードを出さなければならないのですが、なんとも絞りづらいですね。 とりあえず、各テーブルで、もう一度「睡眠の意味」を考えていただきましょう。 


長谷川


睡眠が、まだこれからの研究分野であることがよく分かり、また、それぞれがよく知っているはずの自分の睡眠のこともよくわからないということはわかりました。 それで、もう一度、篠原さんがおっしゃったように「睡眠の意味」を考えながら、「2030年の未来を創る」をテーマにしておりますので、人間が人間らしく生きていく上で、睡眠をどう位置づけ、どんな環境整備をしていったいいのかというようなこと議論していただいたらどうでしょう。 


高田


睡眠には、まだまだ、よう分からんことがあります。 でも、睡眠をめぐって何か新しいビジネスが生まれる可能性も小さくないような気がします。 そんな睡眠ビジネスの可能性も、あらためて考えてみると面白いかもしれませんね。 


 





注:日本では、大規模な調査はありませんが企業勤務者約5000人の調査からの推計があります。 日本全体で睡眠不足からくる生産性の低下が3兆円、欠勤、遅刻、早退、睡眠不足に関連する交通事故や産業事故の損失を合計して3兆5000億円となります。 この調査では直接的医療費が入っていないため、外国の報告と比べ少し少なめな数字になっていると言えるかもしれません。 


このように計算の方法は違いますが、日本における睡眠障害の経済損失は医療費を含まない額でおよそ3兆5000億円、医療費を含むと5兆円位という大きな経済損失が起こっていることが予想されます。 有効な対策で睡眠の問題を減らすことは、健康面だけでなく経済的にも重要なことがわかります。 (日本睡眠学会 内山理事)



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