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ディスカッサント


堀場製作所最高顧問

堀場 雅夫 氏


京都大学防災研究所教授

モリ ジェームズ ジロウ 氏


京都大学大学院理学研究科科長

山極 寿一 氏


同志社大学大学院総合政策科学研究科教授

山口 栄一 氏



 




山口 栄一(同志社大学大学院総合政策科学研究科教授)


地震の門外漢の者にとっては、「地震予知」は一体どうなっているのかという素朴な疑問があって、ぼくたちは、地震学者とか地球物理学者は地震予知をきっと成し遂げてくれるだろう、いずれできるだろうとそういう思いを託してきたわけなんですけれど、今日のお話を聞く限り、実際にはずいぶん地震予知は難しそうだとわかりました。 


地震学はまだ未熟、ともおっしゃったのですが、まず、地震予知はできないものかという論点から出発して、話を切り込んでいきたいと思います。 ちょっと、その前に、もう一人の地震の第一人者である京都大学のJames Mori先生にも、おいでいただいていますので、まず一言お願います。 


 


モリ ジェームズ ジロウ(京都大学防災研究所教授)


日本へ地震の研究に来て10年ぐらいになります。 日本人ではないので、日本語はもうひとつですけど、今日はよろしくお願いします。 


ぼくがなぜ、日本に研究に来たかというと、日本は地震がよく起こることもあるし、先ほど、谷本先生のお話にもあったように、観測機械とかもすごくよくて、地震の研究では世界一と思っているからです。 


この10年間で本当にたくさんのことを体験しました。 ぼくは、この4月、5月はJAMSTEC(海洋開発研究機構)の船「ちきゅう」(地球深部探査船)にずっと乗っていたんです。 何をやっていたかというといろんな海底掘削、海底から断層まで掘って調査をしていました。 地震予知とか本当の地震の理解はまだまだできませんが、「ちきゅう」での調査やぼくの研究経験から、今日何かお話できることがあるかもしれません。 


 


山極 寿一(京都大学大学院理学研究科教授)


世の中には、予知科学と呼ばれているもの、例えば天気予報とか地震予報とかいろいろあるわけですね。 そういった予報は人々の安全にかかわるものだけに、国も相当予算もつぎ込んで人々の期待も大きいわけです。 実際に多くの方々が地震研究にかかわっていて、実は、「3・11」の前に大きな地震が起こることを地震学者はちゃんと知っていたんだという人もいます。 


今、谷本先生は、ある部分まではあたっていたけど、でも間違えていた部分もあるとおっしゃっていた訳なんですけど、どの部分があたっていれば大災害は防げたのか、あるいは、今回、予測できなかった部分が実はとても大きかったのか。 地震学者を政治家なり政策担当者が信用してこういう手を打っていたら災害は防げたんだという部分と、地震学者でも予想できなかったから、ここの部分は仕方がなかったというところがあるんだと思うんですね。 そのあたりをお聞きしたいのですが。 


 


谷本 俊郎(カリフォルニア大学サンタバーバラ校教授)


京都大学の尾池先生は、想定外ではなかったとおっしゃっていますね。 私は、さっきもいったように、東北であんな大きな連動した地震が起こるとは思ってなかったですね。 その可能性を考える人が少しはいたかもしれませんが、地震の前にそんなことをいっても学会のほとんどの人から見向きもされなかったろうと思います。 ところが、今は逆に東北が起こってしまったので、つい最近、南海、東南海に関しては、40万人が犠牲になると…。 


これまでこんなに人の亡くなった地震は日本にはないのですが、今、地震学者は逆に振れていて、「ワーストケースシナリオ」を口にするようになっている。 連動の可能性があり、念のためにと、とても強く押し出されてきているのです。 しかし、「大きいのが来る来る」ということで、地震学者の役割が果たせたことになるかというと、そうではないと思いますね。 先ほど話しました浜名湖の例もそうですが、伊東の沖合の群発地震とか、これもあまりいいませんね。 地震学者や火山学者は、これを見ているだけです。 念のためと、この現象のことをいいますと、観光面なんかに不都合が起こります。 


社会への影響力を考えると、どこまでいったらいいのか、とても落とし所が難しいですね。 


 


山極


東北の地震が起こった時、私のところの大学院生が、実は震源地のすぐ近くにある宮城県の金華山島に滞在していてニホンザルを調査していました。 ものすごい揺れが起こったのですが、サルたちは全然平気だったそうです。 海岸線にいたもですから、そのうち波がパチパチ音をたてはじめ、これは危ないとその院生はあわてて斜面を登った。 その時、サルはまだそのまま海岸にいたらしいんですよ。 それが、気がつくと、もうサルの方が先に上にいたというんです。 人間以外の動物というのは、地震の予知などしなくても、ものすごい大きな地震が起こったりすると、その身体能力で逃れるすべを持っているわけですね。 


先ほど谷本先生がおっしゃったように、人間は、どのぐらいのレベルの地震ならこのくらいの災害になるという、そういう差し引き勘定を持ってしまったが故に、予知は大変な経済的損失と経済的な効果をバーターにせざるをえなくなっている。 だからその分、予知は価値が高く非常に難しいわけです。 


予知は地震の規模だけでなく、その結果起こる災害の規模を想定して対策を立てなくちゃならないので、今は、地震が起こると、建物や交通機関など昔とは考えられないほど大きな経済的ダメージがある。 その対策を行って、もし予報が外れた場合、何億、何十億という損害を与えるわけですよね。 その経済的損失はものすごいことになる。 この辺が、ためらいになるし、地震学者に予知に対する微妙な心理をもたらしている原因じゃないかと思うんです。 


 


モリ


想定外とい言うことですが、ぼくも、東北でこれぐらい大きな地震が起きるとは思わなかったのでびっくりした。 世界中見て、いつも思わないところで思わない規模の地震が起こっている。 例えば2004年のスマトラ沖もM9・1の地震で、あそこも地震学者は起こらないと思っていた。 逆に、起こるぞ起こるぞといわれている駿河湾の東海地震は全然起きない。 大体予想しているところで起きず、関係ないところで起こっている。 それは、結局、地震学者は「地球の複雑さ」が余りちゃんとわかっていないということだと思います。 


さっき谷本先生がお話されたような、地震は断層の摩擦で抵抗する力が耐えきれなくなった時に起こるという、簡単なメカニズムは説明できるようになってきたが、地球はものすごく複雑で、どこが強い、弱いとか、どこがズルズル滑っている、あるいはどこに歪がたまっているか、いないか、というようなことは、きちんとまだわかってないんです。 だから、いろんな理論があるけれど、ぼくはまだ、地震についてはほんとにほんの少し(6、7%?)しかわかっていないと思っています。 


とにかく、地震というのは経験的なもの。 過去何度か起きたものを見て、こう起きているから、もう一回起きるかもしれない。 これ、大体間違いないんですね。 だから、東北の場合も、あの規模や領域の大きさはちょっと考えつかなかったが、地震が起こることは経験的によくわかっていた。 あそこはものすごくたくさん地震がある。 世界中でも一番活発なところといっていいかもしれない。 


そして、400年、500年前からの歴史的なこともわかっていて、その間にM7規模の地震が15、16回、M8も3、4回起こっている。 それだけの経験があるので、地震学者も地震が起こることには自信を持っていたんです。 あれだけたくさん見たら、ひとつ二つではわからなかったろうが、500年で十何回も起こっているのを見たら、何となくわかる感じになりますよ。 ただ、東北に関しては500年の歴史ではまだ少ない、足りなかったということです。 今回、千年とか何千年の単位でこういう大きな地震がいくということを知ったわけです。 ですから、とにかくどのぐらいの経験がいるのかが問題なんですが、地震を予知するには、何千年、何万年というところまで地面をひっくり返して断層を見ていく、これぐらいの時間の経過を視野に入れた経験を積むことが必要だろうと思います。 


さっき気象、天気予報と地震予知を比べてしまったんですけど、天気予報の場合、衛星を打ち上げるなど観測点を増やしたり、観測の精度を上げるなりして確からしさを高めてきましたね。 先ほど谷本先生のお話にあった海底に観測地点を設け、観測の精度と地点を増やすことで確度は上がるんですか?


 


谷本


観測機器を増やせばそれでいいとはなりませんね。 さっきいったように経験を積まなくちゃなんない。 新しくGPSを置くと、例えば、これまで知られていなかった断層のずれが新たに見えてきちゃうわけです。 次々知らないことがいっぱい出てきてしまうんですよ。 


 


山極


ということは、やはり今までわれわれは、地震学者に対して過度な信頼と期待をおき過ぎてきたのかもしれない。 というのは、3・11でも後でいろいろ話がありましたが、過去に人が住んでいなかったところにも住居をいっぱい作ってしまって、実はそこは、地震や津波に非常に弱かったところなんだと地震の後でわかったんですね。 もし地震というものが、それほど正確には予知できないものだとするならば、だったら地震は起こるということを想定して、そこにはこういう構造物をつくらないとか人は住まないとかいうことも、政策に入れるべきじゃないかと思うんです。 


例えば、私はアフリカでゴリラの研究をしているわけですけれど、そこは頻繁に噴火している火山地帯なんです。 八つの火山がありまして、そのうちの六つはもう数十万年噴火していませんが、後の二つが活火山で、その近くには、食べるものがいっぱいある豊かな森が広がっている。 しかし、それにもかかわらず、ゴリラはそこには住んでいません。 二つの火山は数年に一度噴火しているんです。 それゆえに肥沃な土壌でいい植物が生えるんですけど、ゴリラは行こうとしない。 先ほどのニホンザルの話ともつながるんですけど、野生動物というのは、地震とか火山の噴火というものを身体能力で避けるすべを持っているのですけど、繰り返しそれが起こっているようなところには予防措置で住まないということも、やっているわけですね。 ところが人間は、野生動物のような経験に即してはもはや考えず、「科学」を信頼して、それを根拠にいろんな文明をすでに構築してしまっている。 そこのところをもう一度反省すべきなのかもしれないなあと、お話を聞いていて思いました。 


 


山口


今の山極さんのお話で、インスパイヤーされたんですけど、サルは気づいたんですね。 数時間前に気がついてちゃんと山に登った。 テレビを見ていると、地震発生時に起こる電波なんかを観測している町の観測家がよく出てきますが、市民感覚からいうと、50メートルも断層がずれるような、それだけの歪が解放される前って、電波を出したり、音がしたりするようなことが何かありうるだろうけども、それを何で地震学者が観測していないのか、素朴な疑問としてあるんです。 世の中見ていると、例えば東大の地震研とか、どうしても町の観測家の研究や動物の動きを無視するとか、どうもそんな傾向があるような気がしてならないんですが、いかがなんでしょう。 


 


 


谷本


いやあ、実はそういう研究はサポートされているんです。 お金もちゃんと回っていますよ。 むしろ、そういうお金が回ってきていない人たちがいて、本を書いていますが、ぼくは電磁気には予知のための可能性はあるかもしれないと思っています。 でも、電磁気はいろんなシグナルがあってとても複雑なんです。 例えば電磁波とか地球の変形に伴っていろいろあるんですが、それらしいものを見てきている人もいますが、いつでもどんな時でもわかるわけではなく、まだ研究段階ですね。 昔から、予知の有望な手法というのが時々出てきているんです。 私の大学院生のころはガイガー探知機を使った方法が注目を集めていたんですが、そのうちあんまり効果がないということで誰もあきらめてしまいました。 


電磁波は可能性があるかもしれないですが、大事なことは、すべての地震に対して当てはまらないといけないということだと思います。 あることばかりに注目すると、他の可能性がわからなくなって空振りしてしまう恐れもある。 ぼくは、地震研究はとにかく基本的にはもっと王道を進まなければいけないと思っています。 地震学者それぞれで、考えはいろいろあると思いますが…。 


 


モリ


ぼくも大体同じ考えです。 数年前、動物の予知能力のことを批判したと有名になったことがあります。 日曜日に京大防災研の研究室にひとりでいたら、新聞社から電話かかってきて、動物の研究をしているかと聞かれたのでぼくはやってないと答えたら、次の日、ぼくの顔写真が出て「京大防災研究所ではこういう動物関連の研究はやってない」と出てしまったことがあるんです。 まあ、動物は何か感じているかもしれないが、ぼくたちのつくっている観測装置の方が、より正確に観測できるはずです。 電磁波なんかは、特に機械の精度の方が信頼できると思う。 


それと、動物が予知したという話は、いつも地震の起こった後に出てくるんですね。 アメリカにいた時、地震が起こると、うちの犬がどうしたとか、娘の頭が痛くなったとか、予知能力があるのではないかといっぱい電話がかかってきました。 でもこれは、何か意味があるかもしれないが、それは偶然というもので、科学とは呼べない。 例えば、毎日ある動物を見て、地震の時どう動く、平時の時とどう違うのかなど、長い間ずっと調べて、違いををはっきりさせることができているかどうかが一番重要なんです。 


 


堀場 雅夫(堀場製作所最高顧問)


スマトラ沖地震の時でも、今話に出たようなことがあったんですな。 大津波が来る30分前に、海岸べりにいた二頭の象が山に逃げてしまったというんです。 これは何か、まあ、「後出しじゃんけん」の類とは思いますが、象に地震や津波を予知する力があるのではと丹念に調べた人がいて、私はそのリポートを読んだことがあります。 結局、いろいろ超短波から中長波まで使って実験したけれど、象には特別な反応はなかったということになったそうです。 が、何か動物には生き延びるためのセンシングのようなものが備わっているのではないか。 人間にも第6感というのがありますね。 なぜかわからないが、例えば何となくあの人はいい人らしいと感じる。 そういうものが動物にもあるんじゃないか。 


それと、20年余り前、科学技術庁の予算に関係する委員をやらされていたことがあったんですが、地震予知に何百億も出すということなので、予知ってどういうことをするのかと尋ねたことがありました。 例えば、日本の全域で1年以内に、M7以上の地震が80%の確率で起きるということを発表するための研究をするんですか、と。 そういうことなら意味があると思ったんですね。 同時に、それなら、もし、東京でM8以上の地震が起きると予知したとすると、まあ、金持ちはどっか、京都とか―実際今、京都のマンションを買っているのは東京や東北の金持ちなんですが―に逃げてくるとしても、お金のない人はどうするのか、役所はどうするのか、と聞いたのです。 とにかく大変経済的に大きな影響があるので、そういう問題も含めて予知ってどう考えているのかと尋ねたわけですが、「これは複雑すぎる問題なので、次の機会に」といわれ、それっきりでした。 予算は通ったようなのですが、どうなったのか、尾池(和夫)さんのところにでもいったのかな…。 


阪神大震災の時には後で「活断層があり、起こるべくして起こった」といっていたが、わかっていたら何で先にいわないかと思う。 まあ、谷本先生もさっきおっしゃったように、地球の中のことはよくわからないんですね。 だったら、地震学者は「地震はわからんもんや」という前提で研究を進め、わかった部分はこれは確かやとか、これはこういう傾向と違うか、などといったらいいと思うんです。 医学会なんかひどいもので、運動時の水の摂り方なんか、昔と今では真逆なことをいっていて知らん顔をしている。 地震学者も、間違ったってええんですよ。 今の時点で正しいとわかっていることを堂々といえばいいんです。 また、門外漢も完全な予知を期待するのは、地震の研究者に対して罪作りだと思うんですよ。 


 


谷本


私、東北の地震が起こった時、東京にいました。 その後、M6とかの地震がいっぱい起こりましたが、耐震構造の立派な建物で、全然怖くなかったですね。 浦安とかは液状化で大変だったんですけど、例えば、イラクとかイランでM7が起こったら、すごい死者が出るほどの地震になります。 しかし、日本では、地震に耐える街をある程度作ってきていてそうはならない。 そうなっているのは、地震学者の研究で積み重ねられたデータが役に立っているからなんです。 ただ、いつ次に起きるのかと問われると、それに答えるは、いろいろ社会的影響もあるので難しい。 ちょっと前、4年以内にM7の地震が東京で起こると話題になりましたけど、そこまではとてもいえないですね。 


 


堀場


日本の陸上に1500個のGPSを置いたというお話でしたが、内陸型の地震予知は絶望的といわれていますね。 意味があることなのか。 一方、海溝型は予知の可能性があるということなんですが、実はこれまで、その手当がされてなく、今度の地震が起こった所で調査が始まったと聞いています。 ところが、今回の震源域あたりで次に地震が起こるのは千年先の話です。 問題は、東南海など間近に起こりそうなところで、その手当が行われているかどうかなのですが、どうなっているんでしょう。 


 


モリ


いつも地震の後なんですね。 GPSも神戸の地震の後を受けて設置された。 今回は大きなのが海で起きて、それに対応した観測がおこなわれるようになったわけです。 いいことだとは思いませんね。 


 


谷本


復興予算でやるものですから、ほんとうは南海トラフの観測を行うべきだとは思うのですが、それは許されない。 ただ、房総沖とか地震が発生しそうなところが残っていますから、今回設置されたのは、それには役に立ちますから…。 投入される金額はすごい額なんですけど、どうして政府とかを動かしていっていいかわからない。 


 


山口


科学の信頼性というか、科学者と市民が上手に意志疎通、すり合わせができていれば解決できる問題と思うんですね。 それにしても、一番緊急性がありそうな南海トラフにお金が使われないというのは日本人の自立性ということにも関係するようにも思います。 吉川先生何かお考えはありますか。 


 


吉川 佐紀子(京都大学こころの未来研究所所長)


ちょっと今のお話しとずれるかもしれませんが、伺いたいことがあります。 地震学者の守備範囲というものが地震の起こる仕組みとその予知だとすると、地震に伴って起きる他の自然、地球の大きな変動、これは人間にとってはとても大きなことなんですが、どういうふうな対応になるのか。 それぞれの専門家がそれぞれの分野での研究に対応するということになるんでしょうか。 特に、今回の東北の場合、大きな地震だったことに加え、それにともなって起こった津波というのが想定外だったと思うんですが、地震学者は、津波ということまでも含めた研究というものを行っているのか、それとも別の研究なのか、どうなっているのかなと気になりました。 


 


モリ


津波と地震の専門家はほとんど一緒です。 滑りが大きかったから、津波が大きかった。 地震の大きさを説明できれば、津波の大きさは説明できて、地震学者はよく議論していて問題ないです。 ただ、むしろ地震学者と工学者とのギャップですね。 長年の懸案ですが、こういう災害があった場合、工学者とどう話し合い連携していくか、これから、いろんな共同研究とか始まるかもしれない。 ただ、連携で一つ難しいのは、理学者同士で話すと例えば誤差について、何倍とか何十倍かもしれない、あるいは、こうかもしれないと、あんまりはっきりいわないんです。 しかし、工学の人は誤差何割の情報がほしいという。 誤差の多いはっきりしない理学の情報を、工学や経済学一般の人がどう使うか、これが大きな問題です。 


 


谷本


工学との連携を考えていくというのはまさに、その通りで大事なことだと思いますね。 東北の地震の影響で、700キロも離れた大阪の咲洲の高層ビルがすごいダメージを受けて大阪府は庁舎の全面移転をあきらめるという事態になってしまった。 地盤と建物の固有周期というのがあるんですが、それが6秒から7秒で一致し完全に共振して大きく揺れたんですね。 こういうことも出てきているので地震学と工学の人との協力は不可欠で、これから工学の人といろいろやっていくことになると思います。 


 


山鹿 久木(関西学院大学教授)


都市経済学で防災、減災に関して少しやっているんですが、その立場から少し感想を述べたいと思います。 今日おみえのお二人の地震学者の役割は、はずれとかあっても、先ほど堀場さんがおっしゃったように、ある程度の範囲を持ってとにかくいろいろな可能性の情報を出してほしい。 それで最低限の責任が果たされるのではないかと思います。 そこから先、被害がどう起こるかというような政策的な誘導はそれぞれの工学者や経済学者などそれぞれの専門家に投げちゃったらいいのではないかと。 さきほど、情報発信すれば、観光なんかに影響すると心配されていましたが、そんなことを地震学者が懸念する必要はないと思います。 


 


山極


日本人の自立の問題なんですが、日本の場合には、コミュニティーが歴史的にまとまって存続してきたということが最大の復旧の問題なんです。 例えば、大きな地震があった時、こんなところに住んでいられない、とすぐに土地を捨てられる人があり、あるいは、土地の値段が安くなれば危険があってもそこに入り込んでくる人が出てきて交替が頻繁に起こるはずなんです。 


しかし、日本はこういうことが起こりがたい。 なぜなら、人とのつながりが人の生き方として重要だからなんです。 これがアメリカと違うところで、免疫力を高めて医者にかからないでおこうというセルフメディケーションというのがアメリカではやったのですが、これは、お金がない人が高度の保健医療を受けられなかったからですよ。 日本の場合だったら、そういう人がいたら親類一同こぞって助けようとするわけです。 しかも、それは、公共がそういう人をほっておいてはいけないという議論が起こってくる。 地震もそうで、ひとりの問題、少数の集団の問題に還元できずに、大きなコミュニティーの話として均に対処しなければならない問題として跳ね返ってくるからです。 


だから、日本人が自立してないというよりも、日本人が、歴史的にコミュニティーと共に生きてきたという歴史が人々を支えるからなんだろうと思うんですね。 その点をやっぱり考えないといけないと思います。 


 


 


 


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