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第4回クオリアAGORA/ディスカッション



 


 

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ディスカッサント


京都大学大学院理学研究科教授

長田 哲也 氏


JT生命誌研究館館長

中村 桂子 氏


堀場製作所最高顧問

堀場 雅夫 氏


同志社大学大学院経済学研究科教授

篠原 総一 氏



 




篠原 総一(同志社大学大学院経済学研究科教授)


私は科学者というわけではありませんで、AGORAでは毎回、例えばCO2と地球温暖化など、常にあらかじめ思い込んでいる前提条件をひっくり返されるような経験をするのですが、きょうの話は、前提条件もない遠い話で、子どもが初めて科学の話を聞くような感じで聞かせていただきました。 


それで、聞きたいのは、まず、宇宙というものは不安定なものなのか。 そして、生きものは死んでしまいますよね。 社会の中で企業とかは、一回死んでもまた生き返ることができるんですが。 生きものは再生できないものなのか。 



中村 桂子(JT生命誌研究館館長)


生きものをどう考えるかということですね。 最初に地球に生きものが誕生した時には、死は組みこまれていませんでした。 バクテリアは、大きくなると二つに分かれます。 分裂です。 二つとも生きるわけで死んでいません。 ずっとつながっていくのです。 


生きものの一番基本的な性格は、続いていくということです。 続くということを38億年間やっている中で、地球というのは凍るなど厳しい条件に見舞われます。 その中で、続いていくために多様になるという戦略をとりました。 バクテリアのように均一では、ある状況になるとすべてがだめになる。 それを避けるには多様化することで、それは多細胞化した。 ただ、多様化し、多細胞化した結果、個体は死ぬようになった。 けれども、子どもは親の卵から生まれる。 その子どもの卵から次が生まれるという繰り返しですから、生殖細胞に注目すれば、ずっと死んでいません。 個体が死ぬということをどう考えるかで、生きものとしては生殖細胞に注目すれば、ずっと続くんです。 


この続くということが生きるということの一番の基本で、個人にとって死とは大変なことですが、宇宙の長い時間の中での生命ということを考えると、個体をつくり多様化し、個体は死んでも生殖細胞でつながっていくというほうが生き残るのによい戦略だったということでした。 それを支えているのがDNAなんです。 



篠原


精子というものがありますね。 



中村


男性の生殖細胞はそうです。 生命体は生殖でつながっているわけで、女性でつながっていく。 つまりメスでつながっていくのです。 これは私のせいではありません(笑い)。 大昔からそうなんです。 



堀場 雅夫(堀場製作所最高顧問)


先ほど中村先生から「地球にやさしく」ということでお話が出ましたね。 これで、私も頭にきていることがあるんですよ。 大体「やさしく」ってのは、目上の者が使う言葉なんですよ。 「地球にやさしく」というのは、人間の方が地球より上位にあるということになる。 不遜ですね。 上から目線。 もうひとついやなのは、「病める地球を救え」というコピー。 地球は病気になってるのか。 地球の健康って一体なんですか、と、さっきのコピーを使っているある会社の社長に聞いたことあるが、答えられもせず、今もそんなこといい続けている。 


それで頭にきていたら、きのうの新聞で、「地球と共存する経営」なんてこといっている。 最悪ですよね。 スポンサーはある化学会社。 共存というのは同格なんですよ。 人間が地球と一緒に生きたろかというんですよ。 こんな独善的な会社が世の中にあるのかと愕然としました。 これほど、人間というのはどうしようもなくなっているわけですよ。 ぼくは、はやいこと人間を絶滅させてね、適当な精子と卵子だけ残して(笑い)、もう一回やり替えた方がいいんじゃないかと思う。 


まあ、そういいながらたいしたことないと思うのは、人類が発生して600万年ぐらいですかね。 地球は46億年。 前のAGORAでもいいましたが、地球の年齢を46歳とおいて計算すると、人類は大体2、3週間前に生まれたことになる。 イエス・キリストが20分前。 そして、あの京都のすばらしい堀場雅夫さんは20秒前に生まれて、がんばっとるけどあと1秒か…(笑い)。 人類が今まで生きてきただけ生きられるとしても、後2、3週間ですよ。 そしたらね、人間の世界でいうと夏休みの出来事やね。 人類が出てきて「おおおおおお」というて、ああ、いなくなったか、という感じ。 地球から見たらわずか1カ月の出来事ですからね、地球に優しくとか地球を救えなんてなんやかんやいったて、どうせ地球から見たら、篠原先生は「わしはどうなんねん」とおっしゃってたけど、われわれは個としては生きてるのは秒単位ですよ。 人類全体でもせいぜい1カ月。 そうなら「好きなことさせてえな」というのが、ぼくの結論です(拍手)。 




長田 哲也(京都大学大学院理学研究科教授)


いやまあ、そうですね。 で、宇宙は安定しているのかということですが、何が安定かということで、地球はまさに46億年の実績があるわけですよね。 それで、例えば太陽がこれから20億年、30億年するとどんどん大きくなっていってですね、地球がのみ込まれてしまうとか、そうでないとかぎりぎりのとこらしいといわれています。 そういうのをくぐり抜けた後とかですね、そういうことを考えると、地球自体安定な仕組みだと思うんです。 


その中で、確かに、これまで温度は全球凍結とか、きっとあったんじゃないかと思いますけど、そのとき人類がいたりすると大変なことになっただろうが、宇宙のシステムとしては極めて安定である。 太陽の膨張以外にも、アンドロメダ銀河と天の川銀河系と衝突するという話もあるが、宇宙のスケールではそう大惨事にはならないだろうというふうに思っています。 



篠原


まあ、20億年とか先の話ですから、まあ、われわれには関係ないことかもしれません。 ところで、中村先生は「ルネッサンスフェイズⅡ」てことをおっしゃっていますね。 それがどんなことか説明していただけますか。 



中村


今、何か変わらなくてはいけない、価値観を変えるとみなさんおっしゃるのですが、変わるのはなかなか難しいと思うのです。 それで、歴史の中で価値観が変わった時を見ていくと、一つルネッサンスがあります。 ルネッサンスって何か。 これは塩野(しおの)七生(ななみ)さんの考察なのですが、塩野さんは、ルネッサンスの中で重要な役割を果たした二人の人物をあげていらっしゃる


その一人が聖フランチェスコです。 アッシジのフランチェスコといって、小鳥の声が聞こえたというよく知られた聖人です。 当時、キリスト教の布教は全部ラテン語だったんですね。 だから、普通の人にはわからなかった。 彼は、誰でも読めるようそれを全部イタリア語にしたんです。 今でいう情報共有ですね。 もう一人は、神聖ローマ皇帝のフリードリッヒ二世。 この人は、イタリア語で「ライコ」というらしいですが、神を信じないわけではないが、すべてが神まかせではいけない。 宗教が関与する分野としない分野の区分けを明確にした人です。 


当時は、神(教会)の権威にすがり、何か悪いことがあると悪魔のせいにする風潮があった。 神が悪いわけでもキリスト教が悪いわけでもなく、この権威を着た教会が悪かったのですが、二人の存在が、宗教を相対化し、情報を共有し、教会の権威から逃れ、神から解放された善悪を自ら引き受ける人間が出てきたのです。 塩野さんはそれを精神的に強い人間といっています。 これがルネッサンスです。 



例えば、昨年の「3・11」の原発事故に対しても、私たち皆がそのような強い人であったら、もっときちんとした対応ができたはずです。 つまり、今は、科学技術万能で、それを権威として動いている人がいっぱいいるということです。 何かルネッサンス運動が起こるころと似ています。 科学技術にすべてをおまかせして、いいことだけを享受し、悪いことがあったら人のせいにするという風潮が蔓延している。 3・11ではっきり見えた。 だから、現在のルネッサンスとして、科学技術を相対化し、情報を共有化し、自分で考え、生きものとして生きていくといことを進めていけば、精神的に強い人間が生きるいい社会になるのではないかと。 塩野さんの著作「ルネッサンスとは何であったか」を読みながらそう考えたわけです。 





堀場


科学技術万能は限界にきたというのは100%賛成です。 ぼくは、それと自由主義経済というか資本主義経済との組み合わせですね。 これ、ルーツというのは産業革命にあると思うんですが、科学技術というものと資本と経営、労働というものが家内工業から工場大型工業に移った時生まれてきた。 これは大きな富ももたらしたが、次の付加価値を得るためだった資本、金融が、金もうけの単なるマネーゲームに使われるようになった時、いわば、お金が悪魔に乗っ取られた、と思うんですね。 


それと、先生におうかがいしたいのですが、生命というものをですね、科学の中に取り込んだのは間違いと思うんですが。 ライフサイエンスちゅうのはね、あんな変な。 大体生命なんてものはサイエンスではないと思うんですが…。 



中村


確かに…。 生命科学というのは、私の先生がおつくりになった言葉で、1970年に初めて聞いて私もびっくりしました。 生命は宗教家が使う言葉で、当時はとんでもないと思いました。 でも今は、私も使っています。 おっしゃるように、今の科学が機械論ですから、機械論で生命を扱うからとんでもないことになっているのです。 私は、科学的な形で生きものを考えていくのは決して悪いことじゃないと思っていますが、大事なのは生命論的世界観。 きょうお話ししてきたことは、機械論的世界観を生命論的世界観に変えましょうということなんです。 私は、その中で新しい科学技術を生むことは必ずできると思っているんです。 



堀場


期待通りのお答えで、わが意を得たりですね。 それはそれとして、生命というものを、世の中の多くの人がサイエンスと思っているんですね。 それで、論争をしてもしょうがないので、ぼくはいつも、残念なことに近代科学をもってしても、アメーバー一つできませんよ。 これは生命が、サイエンスじゃないところが多いということじゃないんですか―というんです。 それはそうと、中村先生の扇の中で、最初のバクテリアはどうやって生まれてきたんですか。 



中村


最初の生きものがどうやって生まれてきたかはまだわかっていません。 



堀場


それがわからんといてね、サイエンスなんていうこと自体、全くのナンセンスですよ。 



中村


いわれると困りますよね。 ただ、このごろのちょっとした流行は、長田先生のお話で出てきたように、外にいっぱい生きものがいるらしい星が見つかってきたので、もしかしたら外から飛んできたんじゃないかとも。 



堀場


あんなもん、らしいちゅうだけで、みたこともきいたこともないんやからね。 



中村


私は、地球の海で生まれたと思っています。 



堀場


ぼくも、なんか蛋白が突然変異で生命体ができた、と。 わからないけど、そうあってほしいんやね。 外から飛んできたなんて、そんなんいやですやん(笑い)。 ロマンティックな考えもね、要るんですよ。 サイエンティストにロマンティストが減っていることが、科学をだめにしている原因でもあるんではないか。 長田先生は違うけど、特に宇宙物理学の人はロマンティストが少ないなあ。 それと、さっきおっしゃった宇宙が安定してるってぼくわからない。 正反対です。 宇宙は常に大混乱で不平衡の世界と思っているんですけど…。 



長田


ちょっと舌足らずでしたね。 穏やかな天体の音楽が鳴り響き、調和の世界が永遠に続くというような、中世の人が考えていたような宇宙のイメージではないことはわかってきています。 ただ、太陽の周りを地球が回っているというのは、ある意味安定しているということをいいたかっただけなんです。 太陽も可視光でみるとそうでもないが、Ⅹ線で見ると爆発がひんぱんに起こっています。 人間は、塩野七生さんではないですが、人間は見たいものしか見ないというところがあるので、宇宙のかなたの暗い天体をゆっくりと見ようということばかりをして来て、特に短い間の変化というのは見逃している可能性もあります。 



堀場


宇宙が膨張していることは、中学生でも天文学の好きな子は知っていることですが、どう説明すればいいのか。 どんどん膨張していくって、宇宙には空間が残っているということなんですか。 


長田


私自身もよくわからないです。 膨張というのはですね、ある時に何かで宇宙空間の中に物差しをつくったとすると、それが70億年前と今ではそれが2倍ぐらい広がっていますよとしかいっていない。 その外側は、みたいなことはわからない。 





篠原


さきほどドレイクの式というのが出てきました。 科学者がまさかそういうことをおっしゃるとは思わなかったのですが、宇宙人はいるんですか。 



長田


私は、少なくとも銀河系の中の何十億、何百億という惑星の中で、生命は発生しているような気はします。 それで、これにどこまで文明化しているかとか、その文明はどのぐらい続くのかというファクターをかけていくと、劇的に生命は減ってしまいます。 が、それでも相当の数の文明はあるかもしれません。 どれだけというとわからないですけど。 



中村


宇宙人はいますよという答えをしようと思ったら、われわれの文明をもっと長く伸ばさないと…。 堀場さんがおっしゃったような、ここで終わり、というようなことでは、これぐらいで切れてしまったら、この宇宙の中で重なってやり取りできるようなことはとっても難しいと思います。 38億年の歴史の中で交信できるようになったのは、つい100年ぐらい前です。 宇宙人がいるという答えを出すためには、もっと私たちの文明を長くしなくなくてはいけない。 



堀場


もうちょっと他に賢いやつがおったらいうてきよるんやろうけど、いうてこないとこみると、もうひとつ賢いやつはおらんということやろね(笑い)。 



高木壽一(元京都市副市長)


一番最初ってなんだったんでしょう。 ビッグバンが引き起こされ、バクテリアが誕生した元はなんだったんでしょうか。 神以外に説明できるのですか。 



長田


かなりの宇宙物理学者、素粒子物理学者が考えていることは、この空間というものはそうなる性質を持っているものであるというんです。 だから、われわれの宇宙は、137億年前に空間にそういう性質があるためにその時に始まったんです。 


「空間というのはそういうものだ」と何でいえるかというと、例えば、太陽の中で水素がぶつかり合ってヘリウムができるというのは、量子力学でそういう確率を計算して初めてわかったんです。 ニュートン力学で太陽の中の温度を考えると、そんな確率は完全にゼロだったんですね。 こういう「非常識」をもうちょっと推し進めていって、空間というのは宇宙みたいなものがバンと生まれることがあるものなんですよというところまで、かなり確かじゃないかと多くの物理学者が思うようになっているのです。 少なくとも、一番ミクロのところから宇宙が発生するということに関しては、かなりの人の共通した認識となっています。 



中村


「無」から生まれたといっていいんじゃないですか。 おっしゃたように、今私たちがいる世界は137億年前にはじまった。 その前は私たちの世界ではないのだから、今考えることからいえばないんですよ。 無から生まれたというのは、宇宙物理学でも使える言葉ではないかと思います。 無から生まれるんだから今の学問の外ですよね。 始まる前は、無ですというしかないと、私は思っています。 





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