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第3回クオリアAGORA_2013/ワールドカフェ



 


 

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ワールドカフェ

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ワールドカフェ


現代の私たちは化学的な材料を使った染料によって様々な色を使うことができるようになった訳ですが、このためにかえって色の使い方が下手になっているのも事実かも知れません。 これをどうしていったら私たちは豊かになっていけるのか? 色を使ってどういうことがわれわれの生活の中で実現可能なのか?


今ワールドカフェでは、「2030年の未来を考える」をベースにしながら、片山教授の日本人の身体史観も踏まえ、「骨」「色」について、文字通り「色々」と話し合ってみました。 


≪ワールドカフェとは?≫


[ 各テーブルのまとめ ]



●第1テーブル 報告者  

池本 貴志 (旭化成イーマテリアーズ電池材料事業部)



「骨から、色から」というところでいろいろ話をしましたが、どちらかというと色を重点的に論議しました。 色の持つ意味、人間がそれによって何を感じるか、そしてそれはどこからもたらされているのかと、話し合ったんですが、最後、2030年、日本をどうするかとなった時、途中でも出ていましたが、日本は「わびさびの文化」ではない、彩(いろどり)の国だと。 それを打ち出していこうということになりました。 


それでは京都の色は何色となった時、京都の人たちは紫とか緑とかいうんですが、私は、栃木県出身なんですけど、京都のイメージは茶色なんです。 京都以外の方が思っているイメージは茶色とか朱色で…。 日本人はこういうところに制約をされているのではないか。 これから大事なのは、まだまだ暗黙知化されている色、色合い等世界に売り出していける色やデザインがあるのではないか。 例えば歌舞伎で使っている色合いとかは非常に素晴らしいものです。 これらを世界に打ち出していくことが、今後の日本にとって大事では。 わびさびだけではありませんよと、いうわけです。 





●第2テーブル 報告者  西田 光生 (東洋紡化成品開発研究所)


吉岡さんのテーブルだったので、色一色です。 昔は人も少なかったので、色も自然のものを使ってできたのだけど、70億人もいる今、自然のものだけ使っていたら大変なことになり、それだけで自然破壊につながってしまう。 どうしても、化学合成の染料を使うしかなく、自然の染料の色合いは高価に、貴重になっていくしかない。 でも、絶やすことなく受け継いでいかないといけないと思うので、吉岡さんに伝道師になってもらって世界を回っていただかなければならない、と。 それで、ちょっと最後に「色」と「彩」の違いについて、吉岡さんに話していただきます。 


吉岡 幸雄 (染師 染織家 「染司よしおか」五代目当主)


私、講演の時はいつもこの話をしますが、白川静先生の説をご紹介します。 「色」は、いわゆる「色男」の色なんですね。 つまり、男女が絡み合っている象形文字から来ているそうです。 「彩」は、木の実があったり、花があったりしているから、染めたり、色どりがあることを観賞しているということなんです。 すぐ色というと、「色」を使いますが、これから皆さん、使い分けをおろそかにされないようにしてください。 みなさんは「色」、私は「彩」の方です。 







●第3テーブル 報告者  市川 聡(日産自動車EV技術開発本部)


一応バランスよく、骨と色の話をさせていただきました。 キーワードは、機能と美学。 最終的には『多様化していく』ということに落ち着きましたが、いろんな意見を交わしました。 色についてはですね、サラリーマンの黒色から始まりまして、色ってどういう意味があるのかとか、人類が使った色はどの色から始まったのかということを話して、最後の方は病院の話になりました。 これ、わかりやすいと思うんですが、病院が白やブルーを基調にしているのは、血がわかりやすいからなんですね。 つまり、何でも目的に応じて色が使われている。 それで、京都の色なんですが、一時は、広告の関係でいろんな色が使われ、いかがなものかということになり、規制が入って、最近は、京の街が京都らしい色になってきた。 何色が京都の色?ということまでは出なかったですが、京都という街を表す色に収れんしてきたと。 ただ、このように目的に応じて色は使われ、使い分けされていくが、色そのものは増えていくので、今後を考えると、どうしても多様化していくだろう、ということに結論が達しました。 


骨の方ですが、今後の30年という期間が、骨格が変わるのに十分なのかどうかを話しました。 ドラスティックに変わる時は、30年あれば十分だという話があり、では、日本人がこれから30年でどうなるかというと、身体的にはもうすでに変わっている。 今後の30年で変わるのは顎。 悪い方に変わるということだそうで、これが一番心配で、なんとかしないといけない課題です。 顎は、使わないとだめになるし、使い過ぎてもいけないが、今は『使わなさ過ぎる』ということでした。 身長については、昔に比べると8等身、9等身の人が増えている。 これはもう変化した後なので、今後、10等身、11等身になっていくことはないようです。 何等身については、どれが人類にとって一番いいとか悪いとかの問題ではないそうで、『どんな体型がいいか悪いか』、これはもう美学の問題だと。 ただ、着物は似合わなくなるので、京都の人は6等身ぐらいがいいねと…。 



●第4テーブル 報告者  山本 勝晴 (浄土宗西山深草派 僧侶)


うちのテーブルは、色を使って何ができるかで、切り込んでいきました。 徳島というところは、藍の産地で、日本中で藍が使われていたために、一時は大都市に匹敵するような人口があったんです。 が、インディゴブルーが輸入されるようになって、衰退し、今のようになったんですね。 これ、すべてが高きから低きに流れるということで仕方ないところもありますが、化学染料は200、300年ぐらいで色あせてしまう。 だからここで、もう少し化学染料と自然染料の違いをはっきりさせた方がいいんじゃないかという話が出ました。 つまり、自然の染料はすばらしいということです。 それで、なぜ、ヨーロッパは自然染料を使っていないのか,馬鹿じゃないかということなんですが、イタリアのミラノあたりのデザイナーに、日本の色がすばらしいということを説得して、色のブランド力を高める。 それで、需要が増えていくんですが、そうすると材料が足りなくなる。 そこで、熱帯地方の麻薬を作っている人たちに、麻薬より染料植物の方がいいよと栽培してもらう。 これで、色を通じて社会貢献もできる世界を巻き込んだ動きが作れるというわけです。 骨については高田先生よろしくお願いします。 


高田 公理 (佛教大学社会学部教授)


健康や病気に対応するために、今や世界中で人々は「遺伝子、遺伝子……」と言いつのっているんですね。 まあ、それはいいとして、きょうの片山さんの話によると、ホモ・サピエンスの遺伝子といいますか、ゲノムそのものは、20万年前のクロマニヨン人以来、ほとんど変わっていないわけでしょ? にもかかわらず、生活様式が変化すれば、骨の形が変わる。 言い換えると、人間の身体の形は、いわば生活様式の表現形だという、そういう話として理解したのですが、片山先生、それでいいんですね。 


とすれば、自分の体や健康については、ひたすら医者に相談するのではなく、それぞれの人が、常に「わが体が喜んでいるかどうか」を感じ、考えながら暮らしていくという生活様式を、われわれ自身が取り返すことが必要なのではないのだろうかと考えてみました。 つまり、すべてを遺伝子の問題、さらに言えば客観的な医療データに基づいて一喜一憂するのではなくて、わが体が喜んでいるんだから、骨もちゃんとしているにちがいないと、そういう自信を取り戻すことが大切なんだと思わされた次第です。 


これを色の問題にあてはめますとね、「色は男と女」とおっしゃったんですが、これ、なかなかいいですね。 というのも、色を西洋近代の視点で捉え直すと、それは「周波数の問題」にほかならない、ということになる。 


でも、われわれ日本人は、そう考えません。 周波数の問題だという捉え方に、さまざまなノイズ、いい意味でのノイズを加えて、あえて「藍の色とインディゴの色は違うのだ」と考え、そう言ってみる。 そういうことが大事なのではないでしょうか。 


というのも、今の世の中、ノイズをできるだけ少なくして、たとえば生命現象に関しては、すべてを遺伝子とゲノムで理解し、問題を解決しようとしています。 しかし、実際にはどうも、それだけでは問題の解決には、なりそうにありません。 というのも、私たちの普段の暮らし、人生や人間の社会にあっては、さまざまなノイズが、非常に大きな意味を持っているからです。 


こういう具合に考えると、2030年は、もう一度、多様なノイズを巧みに取り込む「ジャポニズムの時代」がやってくるのかもしれない。 そんなことを考えていた次第です。 







クオリアAGORA事務局


大変活発な発表ありがとうございました。 では、片山さん、吉岡さん一言、感想をお願いします。 


片山 一道 (京都大学名誉教授)


ぼくは、大変気後れする人間で、カルチャーショックを受けております。 大変うれしい、楽しいカルチャーショックを受けています。 ありがとうございました。  


吉岡


やあ、もうきょうはびっくりばっかりしています。 ありがとうございます。 また、よろしくお願いします。 



クオリアAGORA事務局


どうもありがとうございました。 最初に、山極さんが「きょうは、まさにクオリアだ」とおっしゃっていましたが、そうなりましたでしょうか。 


山極 寿一 (京都大学大学院理学研究科教授)


はい、なりましたよ。 まさにきょうは、感性の話であって、日本人が人間として、日本の文化の中で磨き上げてきた色に対する感性、さらに身体観というものがこれからどう生かされていくかということの非常に大きな前提を討論できたと思います。 最初に、大発言がありましたね。 「わびさびの文化だけじゃない」。 すばらしい豊かな色彩があるのも日本の特徴だってことを、もっと世間に対して申してもいいだろう、ということが確信を持って受け取れたんじゃないか。 そんな気がして、とても楽しかったです。 

 


 


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人間ひとりひとりの深く高質な感性(クオリア)に価値を置く社会、これは各人の異なる感性や創造性が光の波のように交錯する社会ともいえます。
京都からその実現を図ろうと、各種提言や調査、シンポジウムなどを開催した京都クオリア研究所ですが、2018年に解散したため、㈱ケイアソシエイツがその精神を受け継いで各種事業に取り組んでいくこととなりました。
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