大学教育と企業教育

 企業の本来の役割とはなんでしょうか。様々にありますが、その一つに一定の教育を受けてきた人材に、その能力に応じた具体的な行動を起こさせて、付加価値を生むシステムです。

 ところが、今の学校や家庭、あるいは社会でそれまで受けてきた教育を現在の企業サイドから見るとね様々な欠陥があります。本来の教育がされておらず使い物にならないので、仕方なく、企業の中で教育をしなければならないのです。あいさつの仕方まで、会社で教えている状況です。

 大学教育のレベルも疑いたくなる事態があります。大学院のレベルの低下です。

 最近は、ドクター過剰という問題が起こっています。文部科学省が予算を付けて、多くの大学でマスター、ドクターコースができています。その一方で、ドクターの就職難が生じています。会社にも「ドクターを採れ」とうるさく言われます。しかし、学部卒生に比べて5年間も勉強ばかりしているはずなのに、とにかく能力がない。論文を読む速度も遅い。

 では、なぜそうなってしまうのか。かつてであれば、自分が研究を深めたいテーマを持って、それを指導してくれる先生の教室に行きました。ところが今は「修飾するのも気が進まないな」とマスターへ行き、「このまま修飾しても今ひとつだな。あと3年」とドクターへ行く。そしてその間も、先生から与えられたテーマの研究を進める。これは、会社の食堂で「今日はカレーだ」と、食べたくもないのに仕方なく出されたから食べる、というようなものでしかありません。さらに、自分が書いた論文が、その論文がその分野の研究のポジションや果たした役割などを理解していないケースもあります。

 特別な学者で特別な研究をして、ノーベル賞級の研究をする人もいます。しかし、日本の国力を維持し、発展させるための専門教育、高等教育について大学だけに任せて、もし、企業が真剣に教育していなかったら、日本のレベル、国力はすごく落ちていると思います。

トラックバック(0)

このブログ記事を参照しているブログ一覧: 大学教育と企業教育

このブログ記事に対するトラックバックURL: http://www.goodkyoto.com/mt/mt-tb.cgi/48

コメントする

このブログ記事について

このページは、joy&funが2008年5月26日 11:42に書いたブログ記事です。

ひとつ前のブログ記事は「少子高齢化は日本のチャンス!」です。

次のブログ記事は「護送船団方式から「個」の創造性へ」です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。

(株)堀場製作所 社是

  • (株)堀場製作所 社是

著書

  • 堀場雅夫

プロフィール

  • 堀場 雅夫
    大正13年12月1日生まれ

    【学 歴】
    1946年 京都帝国大学 理学部 物理学専攻卒業
    1961年 医学博士号取得

    【職 歴】
    1945年 堀場無線研究所創業
    1953年 株式会社堀場製作所設立 代表取締役社長に就任
    1978年 株式会社堀場製作所 代表取締役会長に就任
    1995年 株式会社堀場製作所 取締役会長に就任
    2005年  株式会社堀場製作所 最高顧問に就任 現在に至る

    【現 職】
    ■財団法人 京都高度技術研究所 最高顧問
    ■京都科学機器協会 理事長
    ■日本新事業支援機関協議会(JANBO) 会長
    ■京都ナノテク事業創成クラスター本部 本部長
    ■独立行政法人 科学技術振興機構 JSTイノベーションプラザ京都 総館長
Counter